皆さんこんにちは。
今回は作業療法士が担当です。作業療法の「作業」に着目してお話します。
作業って言われてもなんだかイメージし難いですよね。私たちは「作業」を生活に関わる全ての活動と捉えています。
例えば、「食事」や「排泄」など身の回りの動作、「料理」「洗濯」などの家事動作、「編み物」「手工芸」といった趣味活動のほか、仕事なども含んでいます。作業療法士は患者様の心と体の機能にアプローチし、患者様それぞれにとって大切な「作業」がスムーズに出来るように支援していくことが役割です。
今回はAさんと行った作業活動をご紹介します。
もともと手先が器用で長年物づくりの職人をされていたAさん。
認知症を患い、入院している理由や病気の事を覚えておくことが難しく「病気もしていない、家に帰りたい」と不安な様子で入院生活を送られていました。
そんなAさんは長年続けられていた物づくりの仕事の話をされることが多く、話しをしている時はいきいきとされています。
そこで物づくりの職人の仕事を頑張ってこられたAさんと、手を動かして作業ができ、完成した作品を目で見て楽しめる「ランプシェード」作りを行いました。
ランプシェードとはランプの電球を包み込み、発する光を拡散させるものです。紙や木、布など様々な素材で作ることができます。今回は木のアイス棒を使用しました。アイス棒をボンドで繋げる工程を繰り返す簡単なもので、Aさんも工程を覚え意欲的に作られていました。
Aさんはこの作業を役割だと感じて下さり、作業を進めていくうちに「役に立つことがあればいつでも手伝いたい」という発言が聞かれるようになりました。
普段のリハビリにも意欲的になり、スタッフや他患者様との関わりも増え、入院生活も穏やかに過ごされていました。
今回は認知症の方も残存しやすいとされる手続き記憶(経験して得た技能やノウハウなどの記憶)を利用し、「物作り」という作業活動を提供しました。
作業療法ではこのように、患者様ひとりひとりに合った作業活動を提供しています。